SHIMON Assistfon/Intrafon をなんとか使えるようにする
2 台で 2,399 円のインターネット TV 電話システム
実家に行ったら,TV電話機らしき箱が2つ転がってた.父親が「子供のおもちゃ用に買ってきたが,設定がわからなくて転がしてある」ということだった.
某通販サイト(後述の理由により,店名等は伏せます)で2台セット 2,399円でたたき売りされていた,Intrafonという製品.
通販サイトによれば,
※イントラフォンのテレビ電話サービスは終了しております。IP電話としての機能はご利用いただけます(別途IP電話サービスへのお申し込みが必要です。)
とのことなので,何かの企業向けTV電話サービスの会社が潰れて,そのサービス用の端末がバッタ市場に流れたというあたりだろうか.
使えない
とりあえずマニュアルを読んで設定して…みようと思ったけど,SIPサーバの設定とかできる気配がない.
「IP電話としての機能はご利用いただけます(別途IP電話サービスへのお申し込みが必要です。)」ということは,SIPが使えるかと思っていたのだけど,マニュアルを読む限りでは,どうやら H.323 プロトコルしか使えないように見える.日本で H.323 のIP電話サービスを提供しているプロバイダってあったっけ?
という疑問はとりあえず脇におい解いて,H.323 だったら IP アドレス直打ちで通信できるかな,と思って試してみたが,発信できない(NetMeeting からの呼接続には反応する;通話できるかどうかは,NetMeeting側にマイク・カメラを接続してなかったので確認せず).
いろいろと調べてみたところ,どうやらこの電話機は, "gatekeeper" と呼ばれるサーバに端末を登録し,gatekeeper 上のIDで接続先を指定しないとだめなようだ.さらに,どの gatekeeper に登録するかは(普通には)設定できない.電話機の設定メニュー上では伏字になっているが,「イントラフォンの電話サービス」のサーバが固定的に指定されている(グレーアウトされていて変更できない)ようだ.
だとすると,これ,「IP電話としての機能はご利用いただけます(別途IP電話サービスへのお申し込みが必要です。)」って無理じゃないの?
機能に対して値段が値段なだけにジャンク品ということだろうから,まともに使えないことに対して文句を言うつもりはないけれど,嘘を書いて売りさばこうとするのは非常に気に食わない.
というわけで,ぶつぶつ思いながらもさらにいろいろ調べてみた.Intrafon の設定に関する情報はあまりなかったが,Intrafon の後継機種?の「Assistfon」という端末を,3-5月ごろにやはり上記通販サイトが売りさばいていたらしく,いくつか情報が見つかった.要するに,
- Gatekeeper を自前で立てる.
- 端末の裏設定メニューを使って,自前で立てた Gatekeeper に登録に行くようにする.
の二つの設定をすれば,とりあえず(同一LAN内なら)使えるようになるようだ.というわけで,以下に備忘録をかねて設定を.
The GNU Gatekeeper (GnuGK) の導入
フリーの Gatekeeper としては,GNU Gatekeeper が使えるらしい.とりあえず,上記から最新版の 2.3.0 のバイナリをダウンロードして,アーカイブを解凍してみた.解凍先は Windows2000 マシン.本来は,様々な設定をしなくてはならないようだが,とりあえず bin/gnugk.exe を起動してみた(←乱暴).当然,設定ファイルが無いといって警告が出る.
でも,なんとなく起動してしまったようだ.
Assistfon/Intrafon への設定
Intrafon 2台にそれぞれ以下の設定をした.
- 裏メニューにアクセス.
- URL は,http://<電話機の IP アドレス>:8080/
- ID とパスワードの入力を求められるので,ID:
Administrator
, Pass:AdminPass
を入力
- メニューから「ITSP」を選択する(おそらく "Internet Telephony Service Provider" の設定の意味).
- 「Gatekeeper 1」に,上記の GNU Gatekeeper を稼動させたマシンの IP アドレスを設定.
- 「H.323 ID」と「E.164」に適当な文字列(数字だと入力がしやすい)を設定.これが通話時の呼び出しIDになるので,端末ごとに違う文字列を設定する.以下,1台目の端末に「
123
」,2台目の端末に「456
」を設定したとする. - 一番下の「Save」ボタンを押す.
- 「H.323 Option」を選択する.
- 「Tunneling」と「start-h245 request」を両方とも OFF にする.
- 「Save」を押す.
ちなみに Save 後に再起動はいらない.また,「H.323 Option」の変更の要否は不明(試行錯誤しているうちに上記の設定で接続できるようになったが,変更を戻して試してみるのを忘れた).
電話をかける
端末から,上記の「H.323 ID」と「E.164」に設定した文字列を入力する.たとえば,「123
」を設定した端末から,(受話器を上げて)「456
」をプッシュし,決定ボタンを押すと相手(「456
」を設定した端末)の着信ベルがなる.受話器を上げればセッション成立.
画質を向上させる
上記でもそれなりの画質でTV電話ができるが,LAN内であれば下記の設定をすればより画質が良くなる(ように思えた).きちんと見比べたわけではないので,どの程度の改善かは不明.
- 上記裏メニューで,「Call Set」を選択
- 「Bandwidth」を 768kbps に変更
- 「Frame Rate」を Fast に変更
インターネット経由で通信…はこのままじゃできない.たぶん.
H.323 は NAT やファイアウォール越えに一工夫必要なので,それはまた別の機会に追求予定.電話機(の表メニュー)にNAT関係の設定はあるが,NATルータにグローバルな固定IPアドレスが割り当てられることが前提の設定に見える.GnuGK に H.323 Proxy の設定をすれば解決できそうな気もするけど,かなり H.323 の世界に入り込まないといけなさそう.
販売サイトの商売の姿勢をちょっと疑う
ということで,おもちゃとしてはそれなりに楽しめたが,それはそれとして,やはり販売元の商売の姿勢はいただけない.繰り返しになるけど,
- ジャンク品がまともに使えないことに対して,文句をつけるのは筋違いだとは思う.
- ただ,嘘の売り文句で素人に期待を持たせて「騙す」ような売り方は,商売のやり方としてどうだろう,とも思う.
まあ値段がジャンクだし,ジャンクと理解して遊び用に買うのは面白いと思いますが.転売狙いや「安くTV電話を導入」などと考えているのであれば,やめておきましょう.